DNAを「遺伝情報を伝える暗号文」と表現する場合があるのも、このように″読めても理解できない文章″だからである。
そこで、遺伝子がどんな働きを担っていて、いつ、どこで働くものなのかを理解するためには、それぞれの文字列が何を意味しているのかを探る「機能解析」と呼ばれる作業が必要になってくる。
たとえば、代表的な方法の1つであるポジショナル・クローニングでは、次のようにして目的とする遺伝子が分離され複製(クロニラグ)される。
ある病気に関係する遺伝子を分離するとき、まず、その病気をもっていると考えられる家系の人たちからDNAを求め、病気をもたない人のDNAと比較することから始まる。
これまでもたびたび登場したように、ある種の制限酵素をDNAに加えると、特定の配列をもつ部分だけで切れて多数の断片が作られる。
つまり、Aという制限酵素を使えば断片パターンAができ、Bという制限酵素を使えば断片パターンBが生まれ、Cという制限酵素を使えば断片パターンCとなる。
それぞれのDNAにこの作業を行っていくと、患者のDNAと健常な人のDNAでは、切断部分の違いによって生じる断片パターンの異なりができるだろう。
遺伝的地図をもとに異常を示している部分(たぶん複数)の見当をつけたら、次は物理地図をもとに周辺の塩基配列から候補となる遺伝子をリストアップする。
そして、いくつかの候補遺伝子が出そろったら、患者DNAと健常人DNAから該当する遺伝子を抜ぎ出し、塩基配列の違いなどを比較する。
両者のDNA配列が異なっている部分があったら、その部分が探している遺伝子の一部である可能性が高い。
こうして病気に関連する遺伝子の最終候補が選び出される。
こう書いてしまうと簡単なようだが、制限酵素による切断にしても物理地図をたどる過程にしても、砂浜のなかから一粒の砂を探すような作業となる。
最終的な候補に絞り込むときに、数十万~数百万個の塩基をたどる作業になるケースも決して珍しくないため、手間と時間と経費とをかける覚悟が欠かせない。
さらに、遺伝子が発見できても確認研究が必要とされる。
複製された遺伝子が作るタンパク質がどんな機能に関係していて、標的としている病気に関してどのような原因を作っているのか。
科学的に因果関係が実証できて、はじめて原因遺伝子がクローニングできたといえる段階となる。
また、ヒトゲノムの研究と平行して、単細胞生物のなかでは比較的高等な生物とされる酵母や、線虫のように多細胞生物のなかでは比較的単純な遺伝子構造をもつ生物など、さまざまな生物についてもゲノム解析が進められている。
近未来的なインプラントも好きな人の好みに合わせちゃうタイプだからインプラントには関係あると思いますと力説。